Hangar7 トップ>ムービートップ>ビデオカメラ基礎>動画撮影の基礎 撮像素子の特性
ビデオカメラでは、レンズで集められた光を撮像素子(CCDやCMOS)上に結像させ、光を電気信号に変換し、その電気信号をテープやHDD、メモリなどに記録することによって、映像を撮影する装置です。このため、撮像素子の性能によって、著しく画質が左右されます。このような基本的な構造はデジカメでもビデオカメラでも、ほぼ同じと言えます。
撮像素子の種類を大きく分けると、CCD、CMOS、MOSの三種類。長らく、ビデオカメラやデジタルカメラの世界では、撮像素子と言えばCCDだけでした。ところが、ここ数年で採用機種を増やし、あっという間にCCDを抜いてしまったのがCMOSと呼ばれる素子です。
そもそも、CMOSは被写体が動いていたり、カメラが動いていると像に歪みが出やすく、暗所での撮影に弱いので、CCDとの競争に敗れてしまったタイプの撮像素子です。Webカムや低価格なスキャナなど比較的クオリティーの低いカメラや機器に採用されてきた素子です。
このため、CMOSと言えば、安物素子のイメージがついてしまっていたのですが、大型単板、高解像度を必要とするデジタル一眼レフでのCMOSの採用から形勢が逆転、最近では、CMOSを採用するカメラが多くなってきています。
これには、ビデオカメラのハイビジョン化が少なからず影響しています。ハイビジョンカメラでは、SD用の撮像素子と比べて、より高解像度で撮影可能な撮像素子を必用とするのは説明するまでも無いでしょう。この高解像度化で、これまで主力であったCCDは消費電力が比較的大きいという弱点が裏目に出ます。素子の大型化と高解像度化の流れの中で、低消費電力のCMOSの特徴が大きくクローズアップされたのです。
最後までCCDを採用していた、Panasonicでは、なかなか素子の画素数を上げられないまま、60万画素程度のCCDを3板式にして解像度を上げる工夫をしていましたが、やはり解像感を上げるのは難しいようです。一部の高級機と、小型の素子を採用している機種を除くと、CCD採用のハイビジョンカメラは、ほとんどラインナップから外されてしまっているのが現状です。小型のCCDは、消費電力、コストのバランスから、しばらくの間、低価格機として生き残ってゆきそうです。
そこで、救世主として、現れたのが、CMOSというわけです。
CMOSなど新しいタイプの素子と比べCCDの方が自然な色合いの描写が得られ、私個人としては、CMOSよりもCCDの方が好みなのですが、もはやCCDを採用するカメラが少ない現状としては、選択の余地は無く仕方ないようですね…
また、CMOSは撮影条件が暗い場合にノイズが乗りやすいという弱点が有りましたが、こちらは裏面照射CMOSの採用や素子そのもの改良、ノイズ除去プログラムの技術向上により問題を克服しつつあります。
まずは、この動画をみていただきたいと思います。エグゼモードのDV580で、前を通り過ぎる自動車を撮影したものです。
お気づきとは思いますが、自動車が菱形に変形してしまっています。これが、CMOSが動きに弱いと言われる特徴で、コマ落ちするとか、動きがぎこちないとか、そういった弱さとは違うCMOS独特の弱点です。
DV580は、絞り、焦点距離も固定の非常にプリミティブなカメラなので、余計に効果が強く出てしまっているのですが、このような傾向は、CMOSを搭載したカメラ全般に言えるます。また、MOSにも共通の弱点で、ラインごとに順次読み出しするローリングシャター方式のセンサー全般に言える特徴です。
次は、カメラを左右にパンしてみた動画。
電話ボックスが激しく歪んでいるのがお分かりかと思います。やはり、クルマの動画と同様に菱形に歪む点は共通しています。最近では、素子を複数のブロックに分け同時に読み出しを進めるなど、センサー速度の向上が図られており、マトモなデジカメやビデオカメラなら、ここまで酷い事にはなりません。ただ、改善されたとは言え、CMOS系の素子の持つ悪癖が完全に払拭されたわけでは有りませんので、画面を動かしたときに、妙な歪みが認められる場合も有ります。
また、メカニカルシャッターを搭載したデジカメでは、走査の同時性が保ちやすく、こういった歪みが発生することは稀です。しかし、ビデオカメラでは、シャッターを切る回数が圧倒的に多くなりますので、機械式のシャッターを使用出来ません。昔のフィルム映画のカメラのように、回転式のシャッターを使用すれば可能かもしれませんが、小型化高密度化が高度に進んだ現在のビデオカメラでこのような機構を使用するのは難しいのでしょう。
このため、メカニカルシャッターを用いた動体歪み対策は、ビデオカメラでは採用出来ず、デジ一でも動画撮影モード使用時には、メカニカルシャッターが動作していません。
これも、CMOSの構造によるものですが、CMOSは光を受ける面積がCCDよりも小さいという弱点を抱えています。受光面に構造上枠がついているので、その枠の幅だけ、面積が狭くなってしますのです。この問題は、解決が難しかったようで、CMOSがCCDに勝てなかった大きな要因となってきました。実際、CMOSを搭載した初期のハイビジョンビデオカメラは、素子の微細化と合わせて、暗所に弱いものが多かったのです。
これを、解決してしまったのが、ソニーの開発した、裏面照射CMOS。暗所に弱いCMOSの特性を改善するために、今までとはCMOSの配置を前後逆とし、裏面から素子に光を透過させる事によって、受光面積の拡大を図った技術です。この技術、2009年の投入当初こそソニーの一人勝ち状態でしたが、他社でも徐々に採用例が増えてきています。
裏面CMOSについては、効果について賛否が有るようで、ソニーなど採用を進めるメーカーと、そうでないメーカーに分かれています。一般的には、小型の素子で効果が高いと言われ、一眼レフなど大型の素子では採用例が有りません。
MOSは、パナソニックが推進している第三の撮像素子といえる方式で、ビデオカメラや、デジカメで採用されています。CCDの受光部に、CMOSの回路を組み合わせた方式で、CCDの受光面積と、CMOSの低消費電力を実現した素子と言える。こちらも、これからの動向に期待したいことろです。
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